ジェッソとは何か役割や特徴を分かりやすく解説

漫画やイラストの制作では、絵の具をきれいに発色させるための「ジェッソ」という下地剤がよく使われます。ここではその役割や特徴について解説します。
ジェッソの基本的な成分と素材
ジェッソは主に白色顔料、アクリル樹脂や膠(にかわ)などのバインダー、さらには水やカルシウムを含む粉末が配合されています。白色顔料は絵の具の発色を助け、描く表面を明るく整えます。バインダーは塗布した面にしっかり密着させるための成分です。また、石灰などの粉末を加えることで、表面に微細な凹凸を作りだし、絵の具ののりやすさを高めています。
市販されているジェッソの多くはアクリル樹脂がベースとなりますが、日本画などで使われる「胡粉ジェッソ」は、ホタテ貝殻の粉末や膠が中心です。どちらも下地材として似た働きをしますが、素材によって質感や使い勝手に違いがあります。
下地剤としての役割や必要性
ジェッソは主にキャンバスや紙、木などの支持体に直接塗布し、表面を滑らかに整えるために使われます。支持体そのものに直接絵の具を乗せると、絵の具が吸収されすぎたり、色が沈んだりしてしまう場合がありますが、ジェッソを塗ることでこれを防げます。
また、ジェッソを使うことで絵の具が定着しやすくなり、色鮮やかな表現が可能になります。下地がしっかりしていると、作品の耐久性も高まり、長期間保存したいイラストや漫画原稿にもおすすめです。
ジェッソの歴史と語源
ジェッソはイタリア語で「石膏」を意味する単語が語源です。もともとはルネサンス期のヨーロッパで、板やキャンバスに石膏を使った下地を塗り、油絵を描くための準備として発展しました。
その後、アクリル樹脂や現代的な素材が登場し、より扱いやすく乾燥の早いジェッソが普及しました。現在では、プロの画家から趣味の漫画家まで幅広いジャンルで活用されています。伝統的な素材と現代の技術が合わさり、用途や好みに合わせて使い分けられているのが特徴です。
「漫画で何を伝えるべきか」がわかる本!
著名な先生方のお話が満載で充実の一冊。

ジェッソの種類と使い分け

ジェッソには様々な種類があり、使う画材や目的に合わせて選ぶことが大切です。ここでは代表的なジェッソの違いや特徴を紹介します。
アクリルジェッソと胡粉ジェッソの違い
アクリルジェッソは、アクリル樹脂を主成分とした現代的な下地剤で、乾燥が早く耐水性も高いのが特徴です。塗布後はややざらっとした質感になり、アクリル絵の具や油絵の具の下地として幅広く使われます。初心者でも扱いやすく、カラー展開も豊富です。
一方、胡粉ジェッソは日本画に多く使われる伝統的な下地剤です。素材にはホタテ貝などの天然の白い粉末(胡粉)と膠が使われており、やわらかくしっとりとした質感が特徴です。乾燥に時間がかかりますが、繊細な表現や和紙との相性が良い点が魅力です。
カラージェッソやクリアジェッソの特徴
近年では、白色だけでなく豊富な色展開の「カラージェッソ」や透明感のある「クリアジェッソ」も人気があります。カラージェッソは、好きな色の下地を作れるので、作品全体の雰囲気や色味をコントロールしやすくなります。
クリアジェッソは透明度が高く、素材の風合いや下地の色を活かしたいときに適しています。たとえば、木目を残したい場合や、カラーインク・水彩用のサポートとしても活用できます。それぞれの特徴を理解し、作品のテイストや用途によって選ぶことで、表現の幅が広がります。
用途や画材に合わせた選び方
ジェッソ選びでは、描きたい画材や仕上がりの希望に合わせて選ぶことが大切です。アクリル絵の具や油絵の具を使う場合はアクリルジェッソ、水彩や日本画には胡粉ジェッソが向いています。
また、色の雰囲気にこだわりたい場合はカラージェッソ、木や紙の質感を生かしたい場合はクリアジェッソを選ぶとよいでしょう。以下のように用途や特徴をまとめると分かりやすくなります。
ジェッソの種類 | 主な特徴 | 適した用途 |
---|---|---|
アクリルジェッソ | 乾燥が早い、耐水性 | アクリル画、油彩画 |
胡粉ジェッソ | しっとり、伝統的 | 日本画、水彩 |
カラージェッソ | 色のバリエーション | 色彩下地、個性表現 |
クリアジェッソ | 透明感、素材感生きる | 木目や紙を活かす |
ジェッソの正しい使い方と塗り方のコツ

ジェッソは適切に使うことで、作品の仕上がりや作業効率が大きく変わります。ここでは使い方のポイントや注意点を紹介します。
使用できる支持体と下地作りのポイント
ジェッソはキャンバス、画用紙、木板、厚紙などさまざまな素材に使えます。ただし、油分の多い支持体や表面が滑らかすぎる場合は、ジェッソの密着力が下がることがあります。この場合は、表面を軽くヤスリがけしてから塗ると効果的です。
また、紙に塗る場合はジェッソの水分でゆがみやすいので、厚めの紙やパネル張りがおすすめです。しっかりと乾燥させてから次の工程に進むことで、きれいな下地を作ることができます。
塗るときの手順と必要な道具
ジェッソを塗る時は、広めの平筆や刷毛、ローラーなどを使うとムラなく仕上げやすくなります。手順は以下の通りです。
- 支持体の表面を清掃し、必要ならヤスリがけする
- ジェッソを適量取り、刷毛やローラーで薄く均一に塗る
- 1層目が乾いたら、必要に応じて2~3回繰り返す
- 乾燥後、表面がざらつく場合は軽くヤスリがけする
また、ジェッソは原液のままでも使えますが、用途に応じて少量の水で薄めると塗りやすくなります。塗布の厚みや回数で下地の強度や質感も調整できます。
仕上がりを良くするための注意点
ジェッソをきれいに塗るためには、塗りムラや気泡ができないよう注意しましょう。特に刷毛やローラーで厚く塗りすぎると、乾燥後にひび割れや凹凸が出やすくなります。適度な量を数回に分けて重ね塗りするのがポイントです。
また、十分に乾燥させることも大切です。乾燥が不十分だと、上に塗る絵の具がはがれやすくなったり、色ムラの原因になります。季節や湿度によって乾燥時間が変わるため、焦らずじっくり待つようにしてください。
初心者におすすめのジェッソと人気メーカー

初めてジェッソを選ぶ場合、どのメーカーや商品を選べばよいか迷うことも多いです。ここでは特に評価の高いメーカーやおすすめの選び方を紹介します。
ホルベインやリキテックスの特徴比較
ジェッソの有名メーカーとして「ホルベイン」と「リキテックス」があります。どちらも国内外の多くのユーザーに親しまれており、それぞれ特徴があります。
メーカー | 主な特徴 | 容量展開 |
---|---|---|
ホルベイン | まろやかな質感、伸びが良い | 小容量~大容量 |
リキテックス | 乾燥が早い、発色が鮮やか | 種類が豊富 |
ホルベインは日本製ならではのきめ細かい質感や、使いやすさが魅力です。一方、リキテックスは乾燥の速さと色の美しさに定評があり、カラージェッソやクリアジェッソなどのラインアップも充実しています。
初心者向けの選び方とおすすめ商品
初心者の場合は、扱いやすいアクリルジェッソのスタンダードタイプが使いやすいです。ホルベインの「アクリルジェッソ」やリキテックスの「ベーシックジェッソ」は、伸びが良くむらになりにくいので、初めてでもきれいな下地が作れます。
また、カラージェッソに挑戦したい場合はリキテックスの「カラージェッソ」シリーズもおすすめです。必要な量だけ購入しやすい小容量のタイプから始めると、無駄が少なく経済的です。
コストや入手しやすさも比較
ジェッソはメーカーや容量によって価格に差があります。ホルベインやリキテックスはどちらも、画材店や通販で簡単に入手できる点が便利です。以下のように比較できます。
メーカー | 価格帯(目安) | 入手のしやすさ |
---|---|---|
ホルベイン | やや高め | 店舗・通販とも充実 |
リキテックス | 手頃~中価格 | 店舗・通販とも簡単 |
大容量で購入すると単価は安くなりますが、最初は小容量で試すのが安心です。用途や予算に合わせて選びましょう。
まとめ:ジェッソの基礎知識と選び方が分かれば表現が広がる
ジェッソは、作品をより美しく、長持ちさせるための下地剤としてとても役立つ画材です。種類や選び方、使い方を知ることで、自分の表現にぴったりの下地を用意できます。
初心者でも扱いやすい商品が多く、手順や注意点を押さえれば、思い通りの仕上がりにつなげることができます。ぜひ自分の目的や画材に合わせて、最適なジェッソを選んでみてください。
世界70か国で愛されるコピック!
ペンにこだわると、イラストがどんどん上達します。
