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日本画の描き方と画材選び初心者でもわかる基本から制作ステップまで

日本画に挑戦したいけれど、どんな画材をそろえればよいのか、手順がわからなくて不安…そんな悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。独特の美しい表現が魅力ですが、初めてだと道具や描き方の違いに戸惑うこともあるものです。

今回は、日本画の基礎知識からおすすめの画材選び、制作の流れ、そして完成後のお手入れ方法まで、初心者でも安心して始められるポイントを丁寧にご紹介します。日本画の世界がより身近に感じられるヒントを参考に、創作の第一歩を踏み出しましょう。

目次

日本画の描き方初心者が知っておきたい基本とステップ

日本 画 の 描き 方

日本画を始めるには、絵の具や紙など独特の画材と、少し特殊な描き方の流れを理解することが大切です。基礎を押さえておくことで、迷わず楽しく創作に取り組めます。

日本画に必要な道具の種類と特徴

日本画の制作には、一般的な絵画とは異なる道具が必要です。代表的なものとしては、筆、和紙や絹の支持体、顔料(岩絵具や胡粉)、膠(にかわ)、硯、絵皿などが挙げられます。それぞれ素材や用途が異なり、日本画ならではの繊細な表現を支えています。

たとえば、筆は穂先の形状や毛の素材によって描き味が変わります。また、岩絵具や胡粉などの顔料は、色合いが深く発色が美しいため、独特の質感を生み出します。さらに、膠は顔料を紙や絹に定着させるために使われる重要な接着剤です。これらの道具を揃えることで、日本画ならではの表現に近づくことができます。

主な道具と特徴の例を表にまとめます。

道具名特徴主な用途
毛の種類や形が豊富線・塗り分け全般
岩絵具鮮やかな発色彩色
胡粉なめらかで白い顔料下地やハイライト

作品づくりの流れを大まかに理解しよう

日本画を描く手順は、洋画やイラストとは異なります。基本的な流れを知ることで、制作がスムーズになり、迷いなく進められるようになります。まず、描きたいテーマやモチーフを決めたら、スケッチをして下絵を作成します。

次に、支持体(和紙や絹)に下絵を転写し、「骨描き」と呼ばれる細い線で輪郭を描きます。その後、膠で溶いた顔料(岩絵具や胡粉)を使って着彩し、色の重なりやグラデーションを活かして仕上げていきます。最後には、乾燥や定着を確認し、必要に応じて額装や保管を行います。それぞれのステップでの工夫が、作品の完成度を高めるポイントです。

初めてでも安心日本画の基本的な描き方

日本画は「輪郭線(骨描き)」と「彩色」で表現を進めるのが特徴です。まず、下絵を支持体に写し取ったら、輪郭線を細い筆で丁寧に描きます。この時は、緊張せず、自然な手の動きを意識しましょう。

彩色では、膠で顔料を溶き、何度も薄く重ねることで、奥行きのある色合いを作り出していきます。塗り重ねる際は、乾燥を待ちながら、焦らずに作業を進めるのがコツです。描いている途中で修正したい部分が出てきた場合も、水や膠の量を調整することで柔軟に対応できますので、まずは気軽に挑戦してみることをおすすめします。

日本画に使われる絵具と紙の違いを知る

日本画では、主に岩絵具、胡粉、水干絵具などの顔料が使われます。岩絵具は天然の鉱石を砕いて作られた顔料で、色の深みと透明感が特徴です。胡粉は貝殻や石灰石から作られた白色顔料で、下地やハイライトに使われます。

支持体としては、和紙と絹が一般的です。和紙は吸水性が高く、色のにじみや発色の違いが楽しめます。絹は表面がなめらかで繊細な表現に適しており、発色も鮮やかです。どちらも一長一短があり、描きたい表現や好みに応じて選ぶとよいでしょう。

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日本画の画材選び失敗しないためのポイント

日本 画 の 描き 方

日本画の画材は種類が多く、選び方に迷うこともあります。ここでは、自分に合った道具選びのコツや、初心者向けのポイントをご紹介します。

和紙と絹どちらが自分に合うか選ぶコツ

和紙と絹は、それぞれ異なる特徴を持つ支持体です。和紙は吸水性やにじみが特徴で、やわらかい雰囲気の表現が得意です。初心者には比較的扱いやすく、価格も手ごろなものが多いことから、まずは和紙から始める方が多い傾向にあります。

一方、絹は表面がつるっとしていて色が鮮やかに出やすく、細密な描写や繊細な表現に適しています。ただし、絹は扱いが難しく、最初は少し練習が必要です。自分の描きたいイメージや表現方法に合わせて選ぶことで、制作がより楽しくなります。

支持体特徴おすすめ用途
和紙吸水性・にじみ初心者・写実画
発色・なめらかさ細密画・装飾画

初心者向け日本画用筆の選び方

日本画用の筆は種類が豊富で、穂先の形や毛の種類によって描き心地が大きく異なります。初心者がまず揃えたいのは、「面相筆(細い線用)」「彩色筆(広い面を塗る用)」「刷毛(下地や広い塗り用)」の3種類です。これだけでほとんどの工程に対応できます。

筆を選ぶときは、手に持ったときのバランスや、穂先のまとまり具合、実際に水で試し書きして感触を確かめてみましょう。高価な筆でなくても、まとまりが良く、穂先が細くなるものがおすすめです。慣れてきたら毛の種類や大きさの違う筆も少しずつ揃えていくと、表現の幅が広がります。

日本画に欠かせない胡粉と岩絵具の特徴

胡粉は、貝殻や石灰などを細かく砕いて作られた白い顔料です。下地作りやハイライト、白地の表現などに使われ、なめらかな質感や上品な白色が特徴です。膠で溶いて使うため、自在に濃度や質感を調整できます。

岩絵具は、鉱石などの天然素材を砕いて作られた顔料で、粒の大きさによって発色や透明感が異なります。重ね塗りやグラデーションなど、さまざまな表現に対応できます。彩色部分の多くは岩絵具が使われており、色の種類も豊富です。どちらの顔料も、日本画特有の奥深い色合いを生み出す重要な素材です。

ドーサや膠の役割と扱い方

膠(にかわ)は、顔料を紙や絹に定着させる接着剤の役割を持っています。動物性のゼラチン質でできており、水で溶かして使います。膠の量を調整することで、発色や絵の耐久性、描き心地が変わります。やや手間はかかりますが、日本画独特の発色や質感を支える重要な材料です。

ドーサは、和紙や絹に施す下処理剤で、絵の具のにじみを防ぎ、描画面を適度に整えます。市販の和紙や絹にはあらかじめ施されていることが多いですが、必要に応じて自分で塗ることもあります。どちらも慣れが必要なので、初めは市販のドーサ引き済み和紙や、溶かしやすい膠を使うと安心です。

スケッチから仕上げまで日本画制作の具体的手順

日本 画 の 描き 方

日本画の制作工程は、スケッチから始まり、転写、彩色、仕上げといった流れで進みます。それぞれの段階でのコツや工夫を知ることで、より納得のいく作品作りができます。

モチーフを決めて下絵を描く方法

まずは、描きたいモチーフやテーマをじっくり考えることから始まります。花や風景、動物など、自分が魅力を感じるものを選びましょう。次に、鉛筆やペンを使ってスケッチブックに下絵を描きます。複雑なモチーフでも、輪郭や大まかな形をシンプルに捉えることが大切です。

スケッチでは細部にこだわりすぎず、全体のバランスや構図を意識します。何度か描き直したり、パーツごとに分けて描いたりして、納得のいく下絵を完成させましょう。下絵の段階でしっかりとイメージを固めておくことで、その後の転写や本画の制作がスムーズに進みます。

スケッチを本画に転写するやり方

下絵が完成したら、次は本画(和紙や絹)への転写です。和紙の場合は、下絵の上に和紙を重ね、光を通して透かしながら鉛筆や薄い墨でなぞります。絹の場合は、透明度が高いため、下に下絵を敷いて直接写すことができます。

転写の際は、強い筆圧や濃い色は避け、後の作業に影響しないよう注意します。転写が終わったら、下絵をベースにして骨描きを始めます。転写が正確にできていると、この後の彩色や仕上げにも自信を持って進められます。

骨描きで美しい輪郭線を描くコツ

骨描きは、日本画の特徴的な工程で、モチーフの輪郭線を描く作業です。細い筆を使い、墨または淡い色の顔料を使って線描きをします。線の太さや強弱、リズムを意識し、自然な流れで描くことを心がけましょう。

途中で線が途切れた場合や、思うように描けなかった場合は、乾いてから修正できます。骨描きは、作品全体の印象を決める大切な作業なので、焦らず落ち着いて進めてください。練習を重ねることで自分らしい線が描けるようになります。

彩色と仕上げのテクニック

骨描きが終わったら、いよいよ彩色に入ります。膠で溶いた顔料を、薄く何度も重ねて色づけしていきます。一度に濃い色を乗せず、徐々に色を深めることで、奥行きと透明感が生まれます。色の重なりやにじみも日本画の大きな魅力です。

仕上げでは、細部の調整やハイライトの追加、必要に応じて再度輪郭を描くこともあります。すべてが乾燥したら、作品をしっかり確認し、額装や保管の準備に入ります。自分のイメージを大切にしながら、創作を楽しむことが何より大切です。

日本画を長く楽しむためのコツと注意点

日本 画 の 描き 方

せっかく描いた日本画作品を美しく長く保つためには、日頃のお手入れや保管方法も大切です。展示や保存、メンテナンスのポイントを押さえておきましょう。

描いた作品を美しく保つ保管方法

日本画は湿気や直射日光に弱い性質があります。作品を保管するときは、湿度や温度の変化が少ない場所を選び、直射日光や蛍光灯の光が当たらないよう気を付けましょう。和紙や絹はカビや変色の原因になることもあるため、防虫剤や乾燥剤を活用するのも効果的です。

また、作品は専用の保存箱やクリアファイルに入れて、平らな状態で保管すると安心です。重ねて置く場合は、間に和紙やトレーシングペーパーを挟んで傷みを防ぎましょう。定期的に状態を確認し、変化があれば早めに対処することが大切です。

額装や展示で作品を引き立てる工夫

完成した日本画を飾る際は、作品に合った額やマットを選ぶことで、見映えが大きく変わります。額はシンプルなデザインや、和風の雰囲気のものがおすすめです。作品サイズに合ったマットを合わせることで、余白が美しく見え、作品自体も引き立ちます。

展示場所は、直射日光や湿気の多い場所を避け、温度や湿度が安定した場所を選びます。また、展示替えを定期的に行い、長期間同じ場所に飾り続けないことも、劣化を防ぐポイントです。展示の際は、壁との間にすき間を設けて空気の流れを良くしておくと安心です。

日本画ならではの劣化対策とお手入れ方法

日本画は、顔料や支持体の性質上、経年による劣化が起こりやすいものです。特にカビや虫食い、退色には注意が必要です。普段から湿度管理や換気を心がけ、紙や絹に触れるときは清潔な手袋を使うとより安心です。

お手入れは、柔らかい刷毛や布で軽くほこりを払う程度にとどめてください。もし汚れが気になる場合は、専門家に相談するのが安全です。定期的な点検と優しい取り扱いを続けることで、大切な作品を長く楽しむことができます。

初心者がつまずきやすいポイントと解決策

日本画を始めてみると、道具の扱い方や色の出し方、転写や骨描きの難しさなどでつまずくことがあります。たとえば、膠の濃度調整や筆の使い分けに戸惑う方も多いです。最初は失敗しても大丈夫なので、練習を積み重ねることが大切です。

どうしても納得できない部分があれば、部分的に描き直したり、スケッチや小さな作品で練習してみてください。また、初心者向けのワークショップや動画講座を活用するのもおすすめです。焦らず、少しずつ慣れていくことで、着実に上達していきます。

まとめ:日本画の描き方と画材選びを知って創作を楽しもう

日本画は、道具や手順に独自の特徴がありますが、基礎を理解し自分に合った画材を選ぶことで、誰でも楽しく始めることができます。失敗を恐れずに挑戦し、少しずつ自分らしい表現を見つけていきましょう。

描いた後の保管や展示、お手入れにも気を配ることで、大切な作品を長く楽しめます。今回ご紹介したポイントを参考に、日本画の魅力ある世界に一歩踏み出してみてください。創作の時間がより充実したものとなるよう願っています。

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ペンにこだわると、イラストがどんどん上達します。

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この記事を書いた人

漫画やアートで「これってどうしてこんなに心を動かされるんだろう?」と考えるのが好きです。色の選び方や構図、ストーリーの展開に隠れた工夫など気づいたことをまとめています。読む人にも描く人にも、「あ、なるほど」と思ってもらえるような視点を、言葉で届けていきたいと思っています。

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