漫画やイラストの彩色に使われる色鉛筆は、道具選びに迷う方も多くいらっしゃいます。どれが自分に合うのか、プロはなぜ特定のブランドを選ぶのか、初心者でも失敗しない選び方は何か、そんな疑問を持つ方も多いでしょう。この記事では、色鉛筆選びから画材の活用法、長く使うためのコツまで、ポイントを押さえて分かりやすく解説します。自分の描きたい表現や用途にぴったりの色鉛筆が見つかるよう、ぜひ参考にしてください。
色鉛筆の選び方とプロが愛用する理由

色鉛筆は種類や特徴が豊富で、用途や目的によって選び方も大きく異なります。プロのイラストレーターや漫画家がどのような基準で選んでいるのか、その理由と選び方を紐解いていきます。
色鉛筆の種類と特徴を知る
色鉛筆は、大きく分けて油性色鉛筆と水彩色鉛筆の2種類に分かれます。油性色鉛筆は発色が良く、塗り重ねや混色がしやすいため、イラストや漫画制作でよく使われます。一方、水彩色鉛筆は、描いた後に水を含ませた筆でなぞると水彩画のような効果が得られるのが特徴です。
また、色鉛筆にはソフトタイプやハードタイプなど芯の硬さにも違いがあります。芯が柔らかいほど濃く滑らかに色が乗り、硬いほど細い線が描きやすくなります。自分の描きたい雰囲気や用途に合わせて、種類や特徴をしっかり確認することが大切です。
芯の柔らかさや発色に注目する
色鉛筆を選ぶ際には、芯の柔らかさと発色の良さが重要なポイントとなります。芯が柔らかい色鉛筆は、紙の上で滑らかに色が伸び、重ね塗りやグラデーションがしやすいです。特に広い面を塗る場合や、色の濃淡をつけたい場合に適しています。
逆に芯が硬めのものは、細かい部分の描画や繊細な線を表現したいときに向いています。発色についても、顔料の質や芯の密度によって変わるため、実際に試し書きして比較すると良いでしょう。自分の描きたい表現や画風に合わせて、芯の硬さや発色にも注目して選んでみてください。
用途や目的に合わせた選び方
色鉛筆は使う目的や描く内容によって、最適な種類が異なります。たとえば、塗り絵やイラストのベースカラーには発色が鮮やかで柔らかいタイプが向いています。一方、漫画の細かい線画やラフスケッチには、細い線が描きやすい硬めの芯が便利です。
また、水彩色鉛筆はイラストに透明感や柔らかな雰囲気を加えたいときに役立ちます。色鉛筆選びで悩んだときは、まず「どんな作品を描きたいか」「どんな質感を出したいか」を考えてみましょう。それに合った色鉛筆を選ぶことで、より理想に近い表現ができます。
プロが選ぶ色鉛筆の基準
プロが色鉛筆を選ぶ際は、発色の良さや芯の質に加えて、耐光性や色の定着力も重視されます。長期保存を考える作品や商品化するイラストでは、色あせしにくい顔料が使われているものが選ばれやすいです。
また、単色ごとに補充できるかどうか、セットの色数が充実しているか、ブランドごとに細かいニーズに対応しているかも重要なポイントです。下記の表に、プロが注目する主な選定基準をまとめています。
基準 | 内容例 | チェックポイント |
---|---|---|
発色 | 顔料の鮮やかさ | サンプルで確認 |
芯の質 | 柔らかさ・滑らかさ | 試し書きで感触をチェック |
耐光性 | 色あせのしにくさ | ラベルや説明を確認 |
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初心者からプロまで人気の色鉛筆ブランド

色鉛筆を選ぶ際には、ブランドごとの特色やラインナップも気になるところです。ここでは、初心者からプロまで幅広く支持されているブランドの魅力と特徴を紹介します。
ファーバーカステルの魅力とラインナップ
ファーバーカステルは、ドイツ発祥の歴史あるブランドで、世界中のアーティストから支持されています。その魅力は、安定した発色と滑らかな描き心地、さらには充実したカラーバリエーションにあります。
プロフェッショナル向けの「ポリクロモス」シリーズは、芯が折れにくく耐光性にも優れているため、保存性が必要な作品にも適しています。また、初心者向けの「クラシック」シリーズもあり、使いやすさとコストパフォーマンスが高く評価されています。自分のレベルや目的に合わせて選べる豊富なラインナップが特徴です。
ホルベインが支持される理由
ホルベインは、日本の画材メーカーとして高品質な色鉛筆を提供しています。特に「アーチスト色鉛筆」は、発色が非常に鮮やかで、混色もしやすい点が多くのプロに支持されています。
また、1本単位での購入がしやすく、使用頻度が高い色だけを補充する場合にも便利です。芯が柔らかめで紙への色の吸着も良く、重ね塗りやぼかし表現にも強いのが特徴です。日本人アーティストの繊細な表現にもマッチしており、安心して選べるブランドの一つです。
カリスマカラーの特徴と使い心地
カリスマカラーはアメリカ製の色鉛筆で、芯がとても柔らかく、濃く鮮やかに発色します。そのため、深みのある色彩やなめらかなグラデーションを出したいイラストレーターに人気があります。
特に広い面積を塗るときには、少ない力でもしっかり色が乗るため、手が疲れにくいのもメリットです。ただし、柔らかい芯ゆえに細かい線描写にはやや不向きな面もあるため、画風や用途に合わせて使い分けるのがおすすめです。
三菱鉛筆やトンボ鉛筆の実力
三菱鉛筆やトンボ鉛筆は、日本の代表的な文房具メーカーとして知られています。どちらも初心者からプロまで幅広い層に使われており、手に入りやすい点も魅力です。
三菱鉛筆の「ユニカラー」や、トンボ鉛筆の「色辞典」シリーズは、手ごろな価格ながら発色と描き心地のバランスに優れています。また、落ち着いた色から鮮やかな色までバリエーションが豊富で、カジュアルなイラストや漫画の下描きにも活躍します。安心して使える高品質な色鉛筆として、高い信頼を得ています。
油性と水彩色鉛筆の違いと選ぶポイント

色鉛筆には油性と水彩の2タイプがあり、それぞれで表現できる幅や使い勝手が異なります。自分に合った色鉛筆を見つけるために、それぞれの特徴や選び方を詳しく見ていきましょう。
油性色鉛筆のメリットとおすすめシーン
油性色鉛筆は芯に油分が含まれており、発色が鮮やかで重ね塗りや混色がしやすいのが特徴です。また、紙の上で色をしっかり乗せられるため、力を入れなくても濃淡やグラデーションを表現できます。
漫画やイラストの仕上げや細かい描写に向いており、紙とのなじみも良いです。耐水性があるため、水を使わずにしっかり色を定着させたい場合や、他の画材と組み合わせて使うこともできます。色彩の鮮やかさやキープ力を重視したい方に特におすすめです。
水彩色鉛筆の使い方と表現の幅
水彩色鉛筆は、通常の色鉛筆のように描いたあと、水で濡らした筆を使うことで水彩画のようなにじみやぼかしを表現できます。淡い色合いや繊細なグラデーションを出したいときに便利です。
イラストの一部を水彩風にしたい場合や、背景を柔らかく仕上げるときにも活躍します。また、最初は普通の色鉛筆として使い、あとから水を加えて違う質感を楽しむこともできるため、1本で多彩な表現が可能です。技法を変えながら描きたい方にはピッタリの道具です。
技法や画風に合う芯の硬さ・柔らかさ
描きたい表現や得意な技法によって、芯の硬さを選ぶことが大切です。たとえば、細い線や細部の描き込みを重視する場合は硬めの芯が適しています。逆に、広い面積を滑らかに塗りたい、重ね塗りやぼかしを多用したいときは柔らかめの芯が便利です。
また、アニメ調や漫画調のメリハリのある表現にはしっかりした発色のものを、リアル系イラストには繊細な色の重なりが出る柔らかめの色鉛筆が向いています。実際に試しながら自分の画風に合う芯のタイプを見つけましょう。
色数やセット内容で選ぶコツ
色鉛筆はセットによって色数が大きく異なります。最小で12色から、多いものでは120色以上のセットもあります。初心者の場合は、基本色が揃った24色セットなどから始めると、色の使い分けがしやすく便利です。
また、よく使う色がすぐになくなってしまうこともあるため、単色購入ができるブランドを選ぶのもおすすめです。必要な色だけを追加できるので、無駄なく使い続けられます。セット内容を確認し、自分の使い方に合ったものを選ぶとよいでしょう。
色鉛筆画に必要なおすすめ画材と道具

色鉛筆画では紙や道具も重要な役割を担います。ここでは、色鉛筆の良さを最大限に活かすためのおすすめ画材と、便利な道具を紹介します。
紙の種類と相性の良い選び方
色鉛筆画に使う紙は、表面の質感や厚みによって描き心地や発色が変わります。一般的には、表面が少しザラついた「画用紙」や「水彩紙」が色鉛筆との相性が良いとされています。紙の凹凸があるほど色がしっかり乗りやすく、重ね塗りやぼかし表現も自然に仕上がります。
また、水彩色鉛筆を使う場合は、水に強い厚手の紙を選ぶと波打ちやすいトラブルを防げます。用途や求める表現に合わせて、紙の種類や厚さを選ぶことが大切です。
鉛筆削りや消しゴムの選び方
芯の形や鋭さが保てる鉛筆削りを選ぶことで、細かい部分の描画がしやすくなります。手動タイプの鉛筆削りは持ち運びに便利で、芯を傷めにくいものが多いです。
消しゴムは、やわらかくて紙を傷めにくいものや、細かい部分を消せるペン型が便利です。色鉛筆専用の消しゴムも販売されており、失敗したときやハイライトを入れるときに役立ちます。用途に合わせて使い分けるのがおすすめです。
描画をサポートする便利なアクセサリー
色鉛筆画の制作には、あると便利なアクセサリーもいくつかあります。たとえば、ぼかしやグラデーションを滑らかにする「ぼかし棒(トーチョン)」や、細かい修正がしやすい「消しゴムスティック」などがあります。
また、紙の上に手を置いたときに汚れを防ぐ「下敷き」や「手袋」も重宝します。これらの道具を活用することで、作業がより快適になり、作品の完成度も高まります。
フィキサチフや画用液の役割
色鉛筆画は、完成後に表面がこすれて色落ちすることがあります。そのため、作品を保護するための「フィキサチフ(定着液)」の使用がおすすめです。フィキサチフはスプレータイプが一般的で、色鉛筆の上から軽く吹きかけておくことで、色移りや汚れを防げます。
また、水彩色鉛筆で描いた作品には、色のにじみやぼかしをコントロールするための画用液もあります。必要に応じて使い分けることで、仕上がりをより美しく保つことができます。
プロ仕様の色鉛筆を長く愛用するためのコツ
お気に入りの色鉛筆を長く使うためには、日々の管理や使い方にも工夫が必要です。ここでは、プロも実践している色鉛筆のメンテナンスや活用法を紹介します。
色鉛筆の保管方法と管理のポイント
色鉛筆は高温や直射日光に弱いため、保管する場所にも注意が必要です。一般的には、ケースやペン立てなどに入れて、湿度や温度変化の少ない場所で保管すると良いでしょう。
また、芯が折れやすいものもあるため、持ち運びの際は専用ケースを使うと安心です。使い終わった後は芯を削り直し、芯先を保護しておくことで、次回も気持ちよく使い始められます。
買い足しや単色購入の便利な方法
セットで購入した色鉛筆の中でも、使用頻度の高い色は早くなくなりがちです。そういった場合は、単色で買い足せるブランドを選んでおくと便利です。画材専門店やネットショップでは、1本から購入できるサービスも充実しています。
また、色番号や品番をメモしておくと、同じ色を間違えずに追加購入ができます。無駄を抑えつつ、必要な色だけを揃えていくことが、長く快適に色鉛筆を使うコツです。
色見本の作り方と活用法
セットを購入した際や新しい色を加えたときは、自分だけの色見本を作っておくと便利です。専用の紙に1色ずつ実際に塗って、色名や番号を書き添えることで、色選びがスムーズになります。
色見本を作るときは、紙の種類や塗る力を揃えて行うと、実際の仕上がりと近い状態で比較できます。新しい色を追加したときも色見本に追記し、作品ごとに最適な色を選ぶ参考にしましょう。
作品を美しく仕上げる重ね塗りテクニック
色鉛筆画の魅力の一つは、色を重ねて深みや透明感を出せることです。重ね塗りをする際は、最初に薄い色から始め、徐々に濃い色を加えていくのがポイントです。
色同士をしっかりなじませることで、自然なグラデーションや陰影が表現できます。また、紙の凹凸を活かして、部分的に色を残すことで質感にも変化をつけられます。重ね塗りのテクニックを身につけることで、作品の完成度が大きく向上します。
まとめ:色鉛筆選びで理想の表現力を手に入れよう
色鉛筆は種類やブランド、使い方次第で表現できる幅が大きく広がります。自分の描きたい作品や画風に合わせて、最適な色鉛筆や道具を選ぶことが理想の表現力につながります。
本記事で紹介した選び方や使い方のポイントを参考に、色鉛筆画の魅力を最大限に楽しんでください。道具選びから作品制作、メンテナンスまで意識することで、長く愛用できる一品に出会えるはずです。
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